2010年1月21日(木)9:30~12:00 子ども劇場事務局にて
40年まえから小学校国語教科書に載っていて、難解な教材として先生たちを困らせている宮沢賢治の「やまなし」。「クラムボン」しか覚えてないなあ~って人も多いのでは?
絵本サークルの文芸学講座で読み深めました。
宮沢賢治は法華経の教えを子どもたちに広めるために童話を書いたそうです。だから、賢治の作品の根底には仏教思想が貫かれています。そのことをまず踏まえ、「やまなし」の世界をイメージしながらゆっくり丁寧に読みました。
物語は谷川の底、小さな蟹の兄弟から見る限られた世界です。しかし、この小さな世界のなかにも光と影、生と死、食うもの、食われるものと目まぐるしく変わるイメージが展開します。
「光の網」に象徴される因・縁・果。光と波と白い岩という条件が揃うことで現れる光の網、それは一瞬にして消える幻でもあるのです。
「あるのでもない、ないのでもない」という仏教思想(色即是空・空即是色)を私たちに提示しています。
自然も人間も無限の縁(条件)のつながりの中に存在しています。縁(条件)が変れば変化するのです。それゆえ、人間は自己と自己をとりまく世界を変革していく可能性を秘めています。
こんな風に「やまなし」を読みました。
これから羽ばたく小学生に向けた人間賛歌の物語だったのですね。