2015年5月9日(土)18:30~20:10 百花プラザ多目的ホール
30周年のスタートにふさわしい感動のステージでした。子ども劇場の歴史の中で、人形劇団むすび座といえば「西遊記」「石の馬」。これからは鮮烈な印象を残した「ピノキオ」が人々の記憶の中でその仲間になることでしょう。
先日、文芸学者西郷先生から「ドラマは観客と舞台の間にある」と学びました。まさに「ピノキオ」はそのことを実感できる舞台になりました。子どもたちはピノキオに寄り添って冒険の旅をしました。あまりにも同化してしまったので、ラストシーンでは号泣する子もチラホラ。いやー、すごかった!!
「人間とはなにか?」「生きるとは?」哲学的命題を大人も子どもも真剣に考えた1時間30分。
お芝居が終わったロビーは熱気に包まれました。もみくちゃにされるピノキオ。なかなかみんな帰らない、いや、名残惜しくて帰れない。余韻を楽しめるのもお芝居のいいトコロです。
子どもの感想がいつもと違っていました。「すこし楽しかった」が多い。この「すこし」という言葉の中に、複雑な気持ちが込められています。
「世界は優しさや楽しさだけではできていない。」
30周年記念に頂いた鳥の劇場芸術監督・中島諒人氏の文章にこうありました。これからの世界を生きるために必要な人形劇「ピノキオ」、本当にすばらしい作品でした。